家に届くまでの間、監督の黒木和雄さんの本を図書館で借りて読むことにしました。
「私の戦争」には、黒木さんの半生、そしてその少年時代をもとにした映画「美しい夏キリシマ」や他の作品の解説と出来上がるまでの経過が記されています。
黒木監督の「父と暮せば」を見た時は、場所と登場人物が絞り込まれているため、どうしても舞台のお芝居を見ている感じから逃れられない感じがして、すんなりその世界に馴染む人と、そうなれない人に分かれるかも、と思いました。
でも、この本を読んで、作品により近づくことができて良かったです!
黒木監督の素敵なところは、他の人と組んで、その人から学びながら作品を創り上げていくところです。
懐が深く、謙虚な感じです。
「美しい夏キリシマ」の脚本を書いた松田正隆さんは次のように述べています。
黒木さんの語る体験は、その語られ、私に伝えられた出来事より、語られなかった、黒木さんが語りたくても語りようのなかったことの方に底のない恐怖があるように思え、絶句せざるを得なかった。しかし、これは実感を得れば書くことができるという問題なのであろうか。(略)他者の体験を自分に引き寄せ、同化するなどというのは、おこがましいことなのである。己の立場に固執せず、なるべく黒木さんに寄り添うようにして書こう。
戦争を知らない世代の松田さんが黒木さんの思いに自らの身を寄せていく、その姿に惹かれます。
「父と暮せば」のヒロイン役、宮沢りえさんや、他の役者さん、カメラマンなどのスタッフ、様々な人から刺激を受けつつ、多くの人の支えによって映画が完成するという実感と感謝の念が、この本にはあふれていました。






